錯角、同位角の等しい2直線は平行であることの証明


中学校で習った

定理

異なる2直線lmに直線nが交わってできる1組の錯角をαβとするとき、

  

である

を証明することにする。

なお、記号は直線lmが平行であることを示す。


いきなりこの定理は証明できないので、この定理の証明に使用する第2外角定理をまず証明する。


第2外角定理

ABCにおいてα>βである。

 

【証明】




ACの中点をDとし、BDの延長上にBD=DEとなる点をとる。

条件より、

 AD=DC

 BD=DE

また、

 ∠ADE=∠CDB(対頂角相等)

したがって、

 △ADE≡△CDB(二辺挟角)

したがって、

 β=γ  ①

線分AEは線分ACと線分AFの間にあるので

 γ<∠CAF=α  ②

①と②より

 α>β

(証明終)

CBA=δとおくとき、同様に、α>δも成立する。

だから、
上の定理は、「外角はその内対角よりも大きい」と言い換えることができる。

 


定理A

異なる2直線lmに直線nが交わってできる1組の錯角をαβとするとき、

 

である

上の定理の証明には背理法を使う。


【証明】

α=βで、直線lと直線mが平行でないとする。

直線lと直線mは平行でないから、直線lと直線mは交わる(平行の定義)。

この交点をCとする。

ABCを考えると、第2外角定理よりα>βとなりα=βという仮定と反する。

よって、

 

である。

(証明終)


そして、上の定理と対頂角相等から次の系が直ちに証明される。


異なる2直線lmに直線nが交わってできる1組の同位角をαγとするとき、

 

である。

【略証】

仮定よりα=γ

対頂角相等よりγ=β

よって、α=β

したがって

 

(略証終)


ここまでは、有名な平行線の公理、すなわち、


平行線の公理

直線外の1点を通り、その直線に平行な直線は1つであって、ただ1つに限る。

を必要としていないし、使用していない。


つまり、

直線外の1点を通り、その直線に平行な直線が2本引けようが、3本引けようが、もっと多く引けようが、上の定理とその系は成り立つはずなんだにゃ。

ただし、上の定理とその系の逆、つまり、


定理

平行な2直線lmが他の直線nに交わるとき、1組の錯角(または同位角)は等しい。

の証明には平行線公理が必要になる。


定理B

平行な2直線lmが他の直線nに交わるとき、1組の錯角(または同位角)は等しい。

【証明】

直線lと直線mが平行で錯角α≠βとする。

α>βであるとする。

XAB=αの内部に∠YAB=βとなる角をとり、点AYを結ぶ直線l’を引く。

YAB=βだから、定理Aより直線l'は直線mと平行である。

しかし、

平行線の公理より、点Aを通り直線mに平行な直線は1つであるのに、直線lと直線l’の2本あることになり平行線の公理に反する。

α<βの時も同様。

したがって、α=βである。

(証明終)

直線lと直線mは平行に見えないかもしれないが(^^