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[軌道エレベーターは自由落下か?の回答?] [ddt³さんの部屋]

[軌道エレベーターは自由落下か?の回答?]

 

 

 たぶんネコ先生くらいしか応えてくれる方はいらっしゃらないと思えますので、回答らしきものを上げます。

 

 まずナノカーボンチュ-ブではなく、カーボンナノチュ-ブでした(^^;)。チューブ径がナノなのでした(^^)。もちろん逆バベルの塔にならないように日々精進を重ねております。前回出したPC鋼線は、鋼鉄の一種と思ってもらってけっこうです(ちょっと違うけど)。その弾性係数は2.1×106 kgf/cm2,引張破断強度は4500 kgf/cm2くらいです。

 すなわち1 cm真角×1 mの鉄棒を1 mm伸ばすには2.1 tfの引張力が必要であり、引きちぎるには4.5 tfの力が必要です。1 cm真角×1 mの鉄棒には鉄筋でも思い浮かべていただければ適当で、あんな華奢な鉄棒でもこんなに十分に強靭な訳です。ただし密度はかなり重いです。7700 kg/m3

 いっぽうカーボンナノチュ-ブの現状は、ウィキをそのまま信じれば、弾性係数は1.0×107 kgf/cm2,引張破断強度は620000 kgf/cm2

 すなわち1 cm真角×1 mのカーボンナノチュ-ブ製の棒を1 mm伸ばすには約10 tfの引張力が必要であり、引きちぎるには620 tfの力が必要です(鋼材の約140倍)。しかも密度は37 kg/m3(鋼材の1/200)。

 この強靭さと軽さがあいまって、PC鋼線が約 1 kmで破断するに対して、カーボンナノチュ-ブの破断長は6000 kmへと飛躍的に向上します。もちろん等断面でです(^^)

 なぜカーボンナノチュ-ブがこれほど丈夫かというと、炭素-炭素共有結合の結合力をそのまま発揮するような結晶構造だからです。たいていの物理効果は色々な外乱や不純物に阻害され、そのままで発現する事は稀です。しかし生の物理効果がいったん発現すると、思いもよらぬ威力を発揮するのも普通です。超伝導,超流動しかり、量子CPUしかり。

 でも目標は少なくとも36000 kmですからね。6000 km6倍だ。余裕(安全率)を考慮すると30倍は欲しいところ。でも100倍以内じゃないか。なんか出来そうな気がしてきませんか?(^^)。例えば斜張橋の橋桁を吊るケーブルは、鋼線を撚る事によって作られる。撚った方が強度がアップするので。カーボンナノチュ-ブの繊維だって撚れるかも知れない。でも鉄の5倍くらい硬いものをどうやって撚るんだろう?。そこはあれ、3Dプリンターとかを使うんですよ、きっと(← 本当か?(^^;))。

 とあるサイトの予想によると、軌道エレベーターのケーブル重量は650 tf/10km)だそうです。重いですが、10km650 tfでカバーできるなら、御の字じゃないですか。どうせ大林なんて、軌道ステーションとして豪華客船「飛鳥」のような、数万tクラスのものを考えてるにチゲェネェ~んだから(^^;)650 tfなんてカスです、カス!(^^;)

 でも現在のロケットのペイロードを考えると夢物語ですね。だから100年計画なんですよ。日本も「望み」でも「HOPE」でもいいから、スペースプレーンにもうちょっと本腰を入れて、って気もしてくる(^^)

 

 ・・・だいぶ余談でした(^^;)

 

 ネコ先生、全体系を自由落下にするために自由落下方式のエレベーターを選びましたね(^^)。確かにC点に「着弾」するようにゴンドラに初速を与えるのは可能ですよね。でもこれって乗客が「ア~レ~!」って絶叫しまくる、恐怖の墜落絶叫マシンじゃないっすか?(^^;)。なので自分は最初、最初のネコ先生と同じように、地球は太陽を周回する自由落下系で、その中で「普通のエレベーター」はいくらでも作れるじゃないか、と考えました。だって毎日会社で乗ってるもの。

 しかしMさんクラスのクレーマー(?)を甘く見てはいけないのです。さっきのような事を不用意に発言しようものなら、絶対次のように言われると思われます。

 

 「つまりそれは、地球が厳密な自由落下系でない事の証左なのだ」

 「己の質量が地球に比べて余りにも小さいから、厳密な自由落下系でない事に気づかぬだけなのだ」

 「そのような近視眼的発想を、物理力の欠如という」

 

・・・なんてね(^^;)。なので反例を出すべきだと思いました。ある理屈を別の理屈で否定するのは大変です。特に物理は経験科学なので、究極的には原理という仮定に基づいた話になる。ア・プリオリに論理的な否定ってのは、ありえないんですよね。そこで反例です。反例が一個でもあればなんとかなりそうだ。

 つまり軌道ステーションだけが自由落下で、ゴンドラとバラストは普通のエレベーターになってる状態が可能だという事を、示せば良いと。





 ネコ先生、お待たせしました。数式を登場させます。

 

 図-2のように、地球の質量をM、軌道ステーション,ゴンドラ,バラストの質量をm,m1,m23者の地球からの距離をrr1r2とします。ケーブルの質量はさっきカス!って言ったので、無視します(^^)

 Tはケーブルの張力で、バラスト側とゴンドラ側とで等しいとします。これで両方向のケーブル張力は軌道ステーション上でキャンセルされるので、軌道ステーションが角速度ωの自由落下円運動をするなら、どんだけのTが働こうが、ステーションはそのままの自由落下です。

 最後に前提として、軌道ステーション+ゴンドラ+バラストの全体系は縦回転など起こさず、図-2のままの姿勢で地球を周回しているとします。

 姿勢がこのままであるためには、ゴンドラもバラストも角速度ωで周回する必要があります。それに必要な向心力は、向心力=質量×半径×ω2なので万有引力の法則を適用し、

  

ですよね?(^^)。左辺加速度、右辺は作用力。すなわちma=Fの形の運動方程式です。Gは万有引力定数。

 

 (1)は、ゴンドラを自由落下させるとr1rで、軌道ステーションの回転速度ωより速く回転しちゃうので、大きすぎる重力をケーブル張力Tで低減してやる、という式です。

 (2)は、バラストを自由落下させるとrr2で軌道ステーションの回転速度ωより遅く回転しちゃうので、小さすぎる重力をケーブル張力Tで補ってやる、という式です。

 

 (1)(2)を足せば次式が得られます。

  

 すなわち、(3)を満たすようにケーブルを上下に繰り出して行けば、図-2の状態は保たれるのがわかります(準静的近似ですが)。例えばゴンドラの降下開始時には当然(3)が満たされると仮定すれば(後述するように、ちょっと怪しいけど(^^;))、(3)さえ守れれば以後はず~っと図-2の姿勢のままだと結論できます。

 しかも最初ゴンドラは軌道ステーションの下甲板に、バラストは上甲板にくくられてるとすれば、バラストとゴンドラは軌道ステーションの重心からわずかに上下にあり、かつωは軌道ステーションの重心が自由落下するための角速度なので、そのわずかな重力差のために、ゴンドラは地上へバラストは彼方へと自然に落下しようとします。発進加速度は極めて緩やかです。老若男女に優しい理想的な乗り物じゃないですか(^^)

 地球の半径をRとし、

  

で重力加速度gを導入します。gを用いて(3)を整理すると、

  

とすれば、

  

なので整理し、

  

を得ます。

 地球半径R6371 km。静止軌道高度は35786 kmなので、r35786637142157 kmr1はゴンドラの周回半径なのでr1R rαr1/R16.617kは地表における遠心加速度と重力加速度の比を表し、ω2π/3600/247.2722×10-5 s-1g9.8067 m/s2とすると、k0.003436になります。

 αの範囲から、0.003436≦kα≦0.022730.02283≦1/α2≦1。従って(6)β2次の項の係数は負で、β1次項がない事から、左辺を3次関数f(β)とするとf(β)β0で極大値f(0)=-1/kをとり、β=-2q/30で極小値をとります。qβ2次の項の係数。f(0)=-1/kよりf(2q/3)0となり、(6)は-2q/3βに一個だけ解を持ちます。

 

 α16.617の範囲に対して2分法で計算したβを図-3に示します。

 

 

 

 図中に示したkm数は、ゴンドラが地表に達した時のバラストの最終高度です。例えばゴンドラとバラストの質量比がp1の時は185kmで、200km近いケーブル延長が必要となり、さすがに現実的ではありません。質量比p20のとき、静止軌道高度の3倍程度の10kmとなり、大林組もこの辺りを狙ってると思われます(この計算結果からは)。

 

 ところでp1の時、ゴンドラは約36000 kmしか降下しないのに、同一質量のバラストは185kmも上空にあります。このような非対称性は、普通の宇宙船にも生じるはずです。例えば軌道ラインが宇宙船の重心を通り、宇宙船が軌道ライン(重心)に対して上下対称だとすると、船体の下側がゴンドラ,上側がバラストに相当しp1です。船体の下側と上側をつなぐ内力がケーブル張力Tという構図になります。上側,下側の重心は全体重心から等距離にありますが、それでは駄目だというのが図-3の結果です。よってM氏の懸念は起こり得るものだとわかります。

 普通の宇宙船の場合は寸法が小さいので重力差も小さく、目に見えては回転しないのでしょう(だって見た事ないもの(^^))。ただ軌道エレベーターのような超巨大構造物をつくる場合は、かなり注意して形状と重心設定をしなければならないと思われます。またケーブルの長さ制御は最も単純化して(6)です。実際にはケーブル質量もケーブルへの重力作用も考慮する必要があります。そのうえ厳密にやろうとすれば準静的近似でなく、動径方向加速度も(1)(2)に追加する必要に迫られます。

 ケーブル制御が相当に微妙で鬱陶しいものになりそうなのは、目に見えています。いくつか行われた実証実験も(スカイフックみたいな)、そのケーブル制御実験のための下準備という趣があります。

 さらに10kmの延長を本当にたった数100 tのケーブルでまかなえるなら、ケーブルはマジで蜘蛛の糸ですよ。端部数kmの大気圏の気象状況が、構造全体にどんな影響を与えるかなんて、現状でわかってる訳ありません。加えて未知の外乱もあるでしょう。言ってしまえば問題は途方もなく山積みです。

 

 たぶん軌道ステーションには、姿勢制御のためのバーニヤは必須っすよ(^^;)

 ただしM氏の考えるように、それらが原理的に制御不可能という話にはなりません。

 

 もう一つ。(1)(2)(3)を満たす時、軌道ステーションは自由落下し、ゴンドラとバラストは自由落下のように見える非自由落下運動をしてるだけと思えるかも知れませんが(それは正しいですが)、ステーション+ゴンドラ+バラストの全体系は間違いなく自由落下です。何故なら、軌道ステーションの運動方程式は、

  

ですが、(1)(2)(7)の和を取れば、内力Tは消去され、

  

となり、rjω2は向心加速度d2rj/dt2なので、(8)左辺は、

  

と変形できます。(9)の右辺は全体系の重心加速度の定義そのものです。それをr0とすれば、

  

 (11)r0(9)から明らかなように、軌道ステーションの重心位置rともちろん一致しません。また右辺の作用力は、r0に集中した質量m0=m+m1+m2が位置r0で受ける重力、

  

である訳もありません。それでも(11)は、全体重心m0の重力作用による自由落下の運動方程式なのです。

 何故なら(11)右辺の作用力は重力作用しかないから。そして左辺は重心質量×重心加速度だから。そして重心位置r0は、(11)右辺の重力作用に従って、実際に自由落下回転運動します。こんな事は、広がりを持った物体の運動方程式には当たり前に起こる事です。これが全体重心の運動方程式の真の意味であり、運動量保存則の基本です。

 

 もっともこの話は、一部の人達には通じないかも知れません。例えば(7)の右辺では、+T-T=0を省略してます。一部の人達にとって、作用合力が重力作用のみになっても、それは自由落下ではないのです。何故なら「意味が違う」から。真の自由落下とは、重力しか働かない事なのです。キャンセルされる力も働いちゃ駄目なのです(^^;)

 

 

 OKWAVE上でMさんに返信した時、面倒臭かったので(3)までしかやりませんでした。「ゴンドラ自由落下と誤解してませんか?」というコメント付きで。完全なニュートン力学ですが、M氏はある程度物理をご存じだったようなので、まさか一般相対性理論で計算しないと認めないなどと無駄な事は言わないよね?、と予想しました。後で知りましたがM氏は、一般相対性理論にも不信を持たれております。

 予想どおりM氏は一般相対性理論なんて微塵も言いませんでしたが、返答は驚くべきものでした。以下は、その時のほぼ全文です。

 

*************

 天空の星々、惑星、太陽の運行が人の運命には結びつかず、星占へ結びつけるのは不当で、星占いとはまやかしであると誰しも知っています。

 

 さらに天文学で天空天体の観察から確かめられたことは、天体星座表に時刻と季節が刻まれているように、天文は時刻そのものを表すことです。

 このように天文にはまやかしの星占いと、真実の時刻があります。ところがここにあなたはまやかしごとの新種を加えようとしています。

 

 ところで衛星も天空の位置から、時計の針が時刻を指し示すように、方位の変遷に当然時刻そのものを表します。

 すなわち高度の異なる衛星があれば、それぞれが衛星の高度によって天空に時刻を刻みます。

 それが宇宙(軌道)エレベータには不成功の原因となります。宇宙(軌道)エレベータは失敗するのです。

 

 もし宇宙(軌道)エレベータが高度の異なる位置にテザーを伸ばすなら、テザーの中間距離でいくつかの節点を決めて、節がそれぞれに時刻を指し示す様子が観察できるでしょう。

 宇宙(軌道)エレベータの静止衛星部が、天空の静止なら、そこから高度が異なるテザーの節点は当然静止せず時刻を天空に正確な時計のように指示します。

 テザーの節点はすべて静止軌道と高度が異なるから静止は決してできません。能動的に常に推進器で軌道を運転しない限りテザーの節点は静止できないのです。

 したがって宇宙(軌道)エレベータの失敗は明確です。

 そして、テザーは赤道上空付近にならび時刻を刻んで、地上から見ているとテザーが地球に巻き付いていく様子を見ることになります。

 

 この問題に対応する解を得るための計算、それこそがあなたが計算すべきです。

*************

 

 あ~確かにテザー(ケーブル)の影響は無視したよ。だけどそれを含めた計算は出来ない訳がない。個人的には面倒でやる気にもならないが。自社スパコンを持つような大林組や清水建設だよ。きっともっと厳密な計算をやってるだろうさ。そこは信用しても良いんじゃないのかね?。しかし問題はそこではないのです。

 

 上記に対する自分の返答は「呪文ですか?」でした。

 なぜ「呪文」を並べるだけで、自分の提出した計算式に反論しないのか?。

 反論したいなら、計算の不備や誤りを指摘すれば済む話だ。

 何故そうしないのか?

 

 ・・・と言ったところ、

  「どうやらあなたは私の物理思想を理解できないようだ」

  「私の物理思想を理解できない人は、この場には要らないと判断します」

 

 ・・・という訳で、出禁になりました(^^;)

 どうやらM氏は、普通とは別の物理理論を持ってるようなのです(^^;)

 

(執筆:ddt³さん)


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ddtddtddt

 ここで述べたM氏なんですが、最近「物理のかぎしっぽ」で発見しました。あの有名な・・・(^^;)。
 投稿記事は最も古くて2020年1月なので、参加されたのは最近のようです。記事の題名は「角運動量保存則の矛盾」。内容は自分が解釈する限りでは、

  (1) 回転運動には2種類ある。
  (2) 一つは独楽の回転運動のような、「重心軸まわりの「回転慣性」による回転運動」。
  (3) もう一つは惑星の公転運動に代表される、「中心力による強制的な回転運動」。
  (4) (2)は真の「角運動量保存則」であるが、一般には(2)と(3)が混同されている。

 「物理のかぎしっぽ」の冒頭ページの目次「物理,力学」→「力学の矛盾」でたどれます。

 回転運動ってそれが等速回転であっても、等速直線運動のような無加速運動でしたっけ?。「重心軸まわりの「回転慣性」による回転運動」って言うけれど、独楽の胴体の一部を取り出して、それに対する運動方程式を検討した事はないのだろうか?。「中心力による強制的な公転運動」となんら変わらないと思えるんだけど(^^;)。

 しかしまぁ~、人の意見はそれぞれだ。しかも「物理のかぎしっぽ」はメンバーの投稿記事に関して全員で査読し、合意のもとに正式採用されるシステムになってるらしい。まぁ~、いいんだけどさ。

by ddtddtddt (2020-04-02 18:52) 

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